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現代美術作家・渡邉ひろ子さんインタビュー #art #artist #art_jp #contemporaryart


Artist website WATANABE HIROKO

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「蟻と魚と鳥が出会う処」2014 ©Tokyo Wonder Site Photo: Ken Kato



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「氷を溶かす」2011 photo



voidchicken スペシャルインタビュー
現代美術作家・渡邉ひろ子さんインタビュー 

トーキョーワンダーサイト(TWS)の若手アーティストの発掘、支援育成プログラムのひとつ「TWS-Emerging」で選出された渡邉ひろ子さん。TWS渋谷で「蟻と魚と鳥が出会う処」という新作では、異なる生活圏や価値観を持つものが共有できる「見えない部分」を意識する「場」を映像メディアによって表現を試みています。

Q:映像作品をつくる前はいろんな素材をつかった立体作品や身体表現もやられていますね?

A:大学2年くらいまでは油彩を中心に絵を描いていました。もともと絵を描きたくて美大に入ったのですが、次第に、平面のキャンバスで表現できることのを限界を感じてきて、そこから少しずつインスタレーション、映像など、出力するメディアが広がっていきました。

「氷を溶かす」という映像作品は学部の卒業制作(2011年)で制作したものです。自分の体より少し大きいサイズ(横810cm×縦480cm×高さ560cm)の氷を自分の体温で溶けるまで抱き続けていく過程を撮影したものです。
(http://www.explosion-tokyo.com)

Q:これは何時間くらいの作品なんですが?

A:約60分です。少し長く編集してしまったかな。今思えば、この作品は若かったからできたのかなと思います(笑)。撮影場所は埼玉にある倉庫をレンタルしました。たまたま借りられたところが埼玉にあるレンタル倉庫だったんです。この作品はひとりで静かに行為を行わなければならない…という想いがあったので、ひとりきりになれる場所を探しました。

Q:「蟻と魚と鳥が出会う処」でも氷でできた文字が溶けていく様子がでてきますね?共通した考えが新作にもあるのでしょうか?

A:新作の「蟻と魚と鳥が出会う処」でも氷を扱っています。これは、「氷を溶かす」作品の流れからできたもので、考え方も精通しています。わたしは普段忘れっぽいので、日々考えたことや感じたことなど、些細なことでもなるべく日記に書きとめるようにしているのですが、氷を抱いて溶かす作品も、以前ふと感じたメモ書きやドローイングを書き付けていたものからでした。


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「蟻と魚と鳥が出会う処」キャプチャ画像

 

そのときは無意識でしたが、後々メモしたワードやドローイングなどが、点と点を結ぶようにつながっていき、それがひとつのイメージとして立ち上がってくるようになりました。作品が生まれるまで、そういう経由があります。
「蟻と …」というタイトルは「ありもしない、けれどあるかもしれない場所」という比喩的な意味です。わたしが示す「場所」とは特定の場所や、限定したある空間を意味しているわけではありません。例えば、異なる生活圏や価値観を持っているもの同士が何か同じイメージを共有できることや、「見えない部分」に対して、積極的に意識できる場のことを言っています。

Q:蟻は土で、魚は水で、鳥は空に暮らす生き物ですものね。なるほど、でも特定の場所ではなくて、そのように違った世界を持つもの同時が出会うということですね。

A: 自分と他者との間にある境界線を揺るがせたい、溶けるように消したいという欲求を意識することがありました。自分とは違う何かと繋がりたい欲求というか、外の世界に対する強い意識がそう思わせるのかもしれませんが、そういう想いが小さいときからあったことを、日記を書いたり、作品を作りながら思い出しました。

Q:撮影された古いお家はどこにあるんですか?ちょっと懐かしい感じがする場所ですね?

A:新潟、高知、東京などで撮影しましたが、古い家は新潟にある実家です。畳や木の古びた質感もあえてそのまま出しています。

Q: 動画は何で編集しているのですか?
A:ファイナルカットを使ってます。

Q:映像見ている側は時間を忘れていつまでも見ていたい気持ちになりますが、制作する側は作業が大変そうですね。氷が相手だから、待ってもらうこともできませんしね。

A:そうですね。氷の文字は型からはずすときに割れないように慎重にならなければならないのと、撮影時もどんどん溶けてしまいますので、時間との勝負になりますね。

Q:氷から水への循環、物質の変化というのもテーマなのですか?

A:はい。水という物質はわたしにとって重要なモチーフです。これは前回の作品「氷を溶かす」のあとに、事後的に気がついたことなのですが、

わたしが体温をもつ「生」あるものだとすれば氷はその熱を奪ってしまう、いわば、「死」のような存在です。その対極にあるものの間から二次的に出て来てたものが、氷が溶けて流れ出た「水」という存在です。わたしはこの「水」が、二項対立にある関係を無効化するような中立的な立場にあるもので、なにやら重要なキーワードになるのではないかと考えました。また、堅くてどっしりとした氷の塊が溶けて倉庫の外に流れ出ていく様子を見て、水は形を自由自在に変化させて、なんて柔軟で自由なんだろう…とはっとしました。

 当然と言えば当然のことなのですが、その事実がとても腑に落ちました。流動的な形態がどこかへ繋がっていくイメージになっていき、この流れから、循環していく水を意識して次の作品へと続いています。

Q: 映像の作品にある水の循環というのは、例えば雨が降って地に吸い込まれ、 地中にもぐって地下水になって、また地上に湧いて川になる。それが蒸発しまた雨水になるという永遠の自然の循環の喩えなのでしょうか?

A:水は想像力でもあるのだと思うんです。見えない場へと指し示す言葉と共に「水の循環」のシーンは、何かを想像することや異なる者同士に発生する力を中和させたり、見えない場やものの間をつなぐモチーフなのです。とても抽象的ですが…

Q: 渡邉さんにとって映像を使わなければ表現できないものはなんですか?

A:時間の流れを扱えたり、行為を記録する…ということだと思います。わたしが映像を使っているのは、私が見たいイメージと映像の特性が合っていたからです。ただ、自分の置かれている状況や感じることは日々変化していって昨日感じていたことが、次の日何かきっかけに変化していたりとかそういった状況もあります。ですから今後は映像にとらわれるのではなくて、その時の状況に応じて表現方法を選んでいきたいと思っています。

Q:後の活動予定について教えてくださいますか?

A:来年の夏になってしまうのですが、個展を行う予定です。

自分の足下にあるかすかな感覚を探りながら、少しずつこれからの道筋を辿っていきたいと思っています。時間はかかるかもしれませんが、少しずつそれをお見せできたら…と思います。(2014年上野にて)




渡邉ひろ子プロフィール
1988年 新潟県生まれ
2013年 女子美術大学大学院 美術研究科 修士課程 美術専攻 修了
個展
2014年 「蟻と魚と鳥が出会う処」(ワンダーサイト渋谷/東京)
「Installation Studies」(undō/東京)
グループ展
2014年 「Unknown Nature」 (Underground/東京)
2013年 「女子美スタイル2012 ,113年‐愛と誇りを抱いて‐ 」(東京都美術館/東京)
「トーキョーワンダーウォール公募2013入選作品展」 (東京都現代美術館/東京)
「まちなか展覧会」 (常総市水道町二水会館/茨城)
2012年 「Coil.3th」 女子美大学院 学外展(ギャラリー青羅/東京)
Progressive Maria進行形のマリア(早稲田スコットホールギャラリー/東京)
Rinneplatz-リンネプラッツ-(Gallery Conceal /東京)
ウラオモテックス-森展2012-(目黒区美術館区民ギャラリー/東京)
2009年 「女子美スタイル☆最前線 2009選抜」(BankArt studio NYK/神奈川)
2008年 「Intuition」(key gallery/東京)
その他
2011年 explosion tokyo にて映像作品「氷を溶かす」を放映
「道場 nignt~ジャンルはどこにあるの?~」にてライブペインティグを行う


Interview by sabo (2015)


現代美術11位!

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by voidchicken | 2015-08-25 11:17 | art days


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